渡辺ひろしホームページ“市政一貫”

議会発言

平成19年第1回定例会(第6日目)

平成19年2月23日

 

一般質問

質問:渡辺博

 市長の施政方針の基本的な考え方のうち、本市と県との関係につきお聞きいたします。
 政令市移行後、仙台市の独自性を発揮することが可能となり、本市は主体的にまちづくりを進めてまいりました。一方、現在、県との連携、役割分担によるまちづくりが必要になってきてもおります。安心・安全なまちづくりを初め、教育行政、産業振興、福祉行政等々、スポーツ施設整備等、本市と県との間には課題が多数あると考えておるのですが、まず市長の御認識をお聞かせいただきたいと思います。新年度は県との間での課題解決に具体的にどのように取り組むお考えでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
 宮城県政、仙台市政は、本来その役割が異なっておるはずであります。生活者である市民に一番近い存在である自治体、市町村の施策の充実を支援する役割が県政には求められます。仙台市は、県に対し主張すべきことは主張し、協調すべきことは積極的に取り組む、めり張りのある姿勢を示すべきであります。また、県と市とのある諸課題について百万県民でもある仙台市民に明示し、認識を持ち、あるいは深めてもらうための啓発活動も必要かと思います。いかがお考えでしょうか、御認識をお聞かせください。
 行政の継続性についてお伺いいたします。
 人事異動の時期を迎えました。本定例会には組織改正の議案も提案されており、大幅な人事異動が予想されます。かねてより課題意識を持って注目をしておりました事務引き継ぎについてお聞かせをいただきたいと思います。
 市民生活に密着し生活百般にかかわる仙台市政でありますだけに、膨大な量の事務が行われております。それだけに、人事異動により懸案事項のうち一部が引き継がれず、市民とのトラブルとなることがありました。事は市政に対する信頼にかかわることだけに、事務引き継ぎの見直しについて検討を要請してまいりました。人事異動、組織改編が予想される中、現在どのような整備をしておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。
 国から譲与された国有財産の状況についてお尋ねをいたします。
 地方分権一括法により国から譲与された国有財産の件数は七万五百三十五件、面積にして千七百一万七千百三十九平米に上ります。これにより国、県を経由しなくなったことにより、申請手続の簡素化と処理期間の短縮が図られました。市民にとってさらにどのようなメリットがあったのでしょうか、実績をもとに改めてお尋ねをいたします。また、仙台市としてはどのようなメリットがあったのでしょうか、重ねてお尋ねをいたします。
 これだけの件数、そして面積であるだけに、財産の管理にかなりの困難があるのではと思われますが、どのような御認識をお持ちになっておられるのでしょうか。万全を期すためにどのような取り組みをしようとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。特に、無断占用の実態をどう把握し取り組んでおられるのか、お聞かせください。費用対効果以前の自治体が基本的に考えなければならない、市民全体の公平公正にかかわる大事な問題であると思います。いかがでしょうか。
 空き家と廃屋への取り組みについてお尋ねをいたします。
 かつてこの件につきましては、敬愛する同僚議員であります鈴木繁雄議員が税収アップの観点から取り上げました。その先見性にここで敬意を表するところであります。私は、安心・安全な住環境の確保の観点から、本市における空き家、廃屋に対する取り組みについて質問をいたします。
 市長にまずお尋ねいたします。安心・安全、そして健康的な住環境の整備は、仙台市として取り組むべき基本的に重要な施策であると思います。個人の権利の行使が住環境に影響を与える場合、全体の代表として仙台市長は可能な限り影響軽減に向けて調整の努力をし、方策を講ずべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
 国の行う住宅統計調査によると、平成十五年十月一日現在、我が国の総住宅数は五千三百八十九万戸、総世帯数は四千七百二十六万世帯となっております。平成十年の結果と比べると、総住宅数は三百六十四万戸増、七・三%アップ、総世帯数は二百九十万世帯増、六・五%アップとなっております。第一回調査が行われた昭和二十三年の総住宅数千三百九十一万戸と比較すると、この五十五年間に住宅数は約三・九倍に増加したと報告されております。
 総世帯数と総住宅数との関係を見ると、昭和三十八年までは総世帯数が総住宅数を上回っておりました。その後もしばらく住宅の量的不足が続いております。昭和四十三年になり総住宅数が総世帯数を上回りました。そして、すべての都道府県で総住宅数が総世帯数を上回るようになり、年々その差は拡大を続け、平成十五年の最新の調査では、総住宅数が総世帯数を六百六十四万戸も上回ることになっております。一世帯当たりの住宅数は一・一四戸となり、平成十年の調査、一・一三戸を上回っております。
 ここで、平成十五年総住宅数を居住世帯の有無別に見ると、居住世帯のある住宅は四千六百八十六万戸で総住宅数の八七%を占める一方、空き家など居住世帯のない住宅は七百三万戸、一三%を占めるようになっております。昭和三十八年以降の傾向を見ると、居住世帯のない住宅の増加率は居住世帯のある住宅の増加率を常に上回り、居住世帯のない住宅の総住宅数に占める割合は、三十八年には三・四%でありましたが、五十八年には一〇・一%とふえ、最新の調査では、平成十五年、一三%となりました。
 平成十五年、居住世帯のない住宅七百三万戸のうち、いわゆる空き家が六百五十九万戸となり、平成十年調査に比べると、八十三万戸、一四・四%の増加を見るに至っております。総住宅数に占める空き家の割合、いわゆる空き家率は、昭和三十八年の二・五%から一挙に一二・二%、ふえているという現実があります。人口が集中する大都市圏でも空き家率の上昇が見られ、その経済的観点ばかりではなく、防災防犯上においても社会題になりつつあると考えます。本市においても、消防局の調査によれば、防災上の観点から把握している空き家の件数は三百九十五棟であるということであります。現状をどう認識されておられるのでありましょか、まずお聞かせをいただきたいと思います。さらに、これまでどのような対応をしてこられたのでしょうか、そしてまた成果のほどはいかがだったのでありましょうか。現在、課題をどう認識しておられるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
 さらに増加の傾向が続くと思われる空き家のうち、住環境に大きな影響を与えているのが廃屋であります。平成十六年度の調査棟数は六十五棟、十七年度は繰り越し新規を合わせて六十五棟、本年平成十八年度は繰り越し新規を含めて六十六棟と、まだ数は少ないながらも着実に定着化し、増加の傾向を示しております。廃屋の除却数は、平成十六年度十二棟、十七年度三棟、十八年度は六棟となっております。担当者の御労苦は多としながも、何らかの対策を講ずる必要があるように思うのであります。廃屋あるいはそれに準ずる家屋に対しての取り組み、廃屋化させない、あるいはしないための方策を今のうちに講じておくことが求められると考えますが、いかがお考えでございましょうか。
 さて、本市には住環境改善のために大いに役に立っている条例があります。仙台市空き地における雑草の除去に関する条例、いわゆる草刈り条例であります。この条例の画期的なことは、空き地の所有者、管理者、占有者の責務を明確にしておること、仙台市が指導、助言、そして勧告までできることを明文化していることであります。仙台市の資料によれば、十五年度七百九十六件、十六年度千三十五件、十七年度八百三十五件あった指導件数のうち、実に七割という高率で除草が実行されておるのであります。このような実績を上げられたのは、担当課の職員の皆さんが現場に数多く足を運び、当事者の理解を粘り強く求めるという地道な努力があったからであり、さらに、いざというときに指導、助言、勧告できるという根拠を当事者に示せることにあったからであります。
 廃屋対策も、現在の状況を改善するとともに、廃屋をこれ以上ふやさないための根本的な対策を講ずることが必要になってきているのであります。土地所有者、占有者、管理者の責任が問われるところでありますが、その果たすべき役割について見ると、仙台市火災予防条例第二十六条に、そしてまたごみの散乱のない快適なまちづくりに関する条例では第二条にそれぞれ示してはありますが、草刈り条例ほど明確ではありません。住環境改善並びに保全を実効あるものにしていくことが求められていると考える立場で言えば、関係条例を見直し整合性を図ることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、ごみの散乱、たばこのポイ捨て、ごみ集積所の管理、愛玩動物等の管理、空き地の管理、自動車等放置車両対策など、快適な住環境に大きな影響を与える都市特有の事象に対応するために、網羅的な新たな環境条例の検討が今必要ではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
 さて、地方自治法の一部を改正する法律の施行を目前にし、地方公共団体、そして議会はその果たすべき役割が重く大きくなってきていると思います。地方自治体の自主性、自律性の拡大を趣旨とする法律の改正の基底を流れる時代の潮流をしっかりと受けとめ、行動することが地方公共団体に求められます。行政と議会の役割をしっかりと認識し、特に議長への臨時会の招集請求権の付与、専門的知見の活用など、議会が行政の提出した議に対する論議を深めることを促すと同時に、議案の修正、対案の提出をも促していると私は考えております。今までの慣習にとらわれない視点と対応が行政と議会に求められていると考えます。この任期最後の議会、市民にわかりやすい論議、判断を心がけることを改めてここに表明し、第一問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

答弁:市長(梅原克彦)

 ただいまの渡辺博議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、本市と宮城県との連携についてのお尋ねがございました。
 この点についての私の認識でございますけれども、言うまでもなく、本市と宮城県との間に各般にわたる共通の課題、時にはその部分として見た場合に必ずしも利害が一致しなかったり利益が相反するような課題もございます。もとより日ごろから村井知事とは、宮城県、仙台市発展のために共通の、いわば利益共同体の二人のトップとして、ほとんど毎日といっていいほど個別の案件を含めて情報を交換、あるいは意見の交換を行っております。
 言うまでもなく、仙台市民に身近な行政は仙台市が責任を持って対処すべきものでございます。県との協議において市民の皆様にとっての真の利益を求め続けるというスタンスで、当然のことでございますが、主張すべき部分は明確に主張し、時に事務方同士で解決が困難であるような課題については、トップ同士の協議によりその解決を図ってまいりたいというふうに考えております。
 そして、議員から御指摘のありました市民の皆様への情報提供による課題の共有化も大切でございます。私たち仙台市民は宮城県民でもあるわけでございますけれども、こういった啓発活動に関しましても、事務方同士で協議をするとともに知事とも議論してみたいと考えております。
 次に、住環境の整備につきまして、住環境に対する影響の軽減に向けた調整の努力についての御質問がございました。
 言うまでもなく安全で安心して暮らしていけるまちの実現、これは市民共通の願いでもあり、行政がまちづくりを進めていく上ですべての基礎になるものでございます。住環境の整備もこういった観点から、個人の権利にも十分留意をしながら個別事案ごとにきめ細かく見ていくならば、それぞれにいろいろな御事情なり、気の毒な状況がある場合も多々ございます。他方、近隣の方々にとって最適な環境整備をするため、行政としてこれを安易に関係当事者間のみの調整にゆだねるのではなく、行政として時にはより積極的な関与が求められる場合が多々あるものと認識しております。
 これはあくまで一般論ではございますけれども、例えば条例などによる規制ですとか、あるいは当事者間による話し合いによる解決、さまざまな手法が考えられるわけでございますけれども、個人、あるいは法人も含めて事業者の個々の利益と、広く市民全体、公共の利益とのバランス、これは民主主義社会において常に根源的な本質的な問いかけでございますけれども、例えば住環境、あるいはまちづくりという点でいえば、ヨーロッパの都市に見られるように個人の家の屋根の形や外壁の色まで規制される、その是非をここで論ずることはいたしませんが、その規制を是とする市民、あるいは住民、あるいは社会全体のコンセンサスがあるわけでございます。これはケース・バイ・ケースで、それぞれの土地、それぞれの国、文化によって一律に論じられるものではございませんけれども、やはり、より公共の福祉全体といいましょうか、そういった観点からの行政の適切な意味での適正な関与というのは必要であり、これは、市役所の幹部にも日ごろからそういった心構えで個々の事案に対応するように私からも指導してまいりたいと考えております。
 そのほかの御質問につきましては、関係局長から答弁をさせたいと存じます。
 以上でございます。

答弁:総務局長(五十嵐悦朗)

 事務の引き継ぎに関する御質問にお答えを申し上げます。
 事務の引き継ぎにつきましては、行政運営の継続性確保が大変重要でありますことから、現在、職員服務規程の見直し作業を進めているところでございます。見直しの内容といたしましては、所管事務や懸案事項等について引き継ぎが確実に行われ、事務の停滞が生じることのないよう文書により引き継ぎを行い、引き継ぎ後には所属長に報告することを基本といたしております。なお、定型的業務の場合には、所属長の承認のもと口頭での引き継ぎも可能とすることといたしております。
 今後、職員にこの見直し内容の周知徹底を図り、引き継ぎに当たりまして遺漏のないよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

答弁:財政局長(保科学)

 私からは、国から譲与を受けました、いわゆる法定外公共物であります財産の状況等についての御質問にお答えをいたします。
 まず、譲与を受けたことによります市民へのメリットについてでございます。
 国や県の関与がなくなったことによりまして、改修や用途廃止の手続におきましては申請図面等の作成部数が半減し、経費的な負担が軽減されるとともに、平均百日程度を要しておりました事務処理の日数が平均五十日程度と処理期間が大幅に短縮されております。また、土地の活用に関しましては、これまで国の基準では認められなかった改修や整備が、国、県の関与がなく、市だけの判断で地域の実情に沿った柔軟な対応が行えるようになったという点でございます。
 このことは本市にとってのメリットでもございまして、さらに、用途廃止をした財産の売却収入は譲与後は市の歳入となっておりまして、これまでに一億五千万円弱の売却収入を上げているところでございます。
 次に、譲与を受けた財産の管理についての認識と取り組みに関するお尋ねでございます。
 これらの財産は確かに膨大でありまして、実態の把握に時間を要するところもございますが、市民生活と密接なかかわりを持つ公共用財産でございます。公共物としての機能を維持、保存していくことはもちろん、適正な管理も求められているものと認識をいたしております。そのため、平成十七年の四月から地理情報を活用した公共物管理システムを稼働させることによりまして、財産の利用実態や管理の状況を速やかに把握できるようにしたところでございます。
 次に、無断使用の実態把握と取り組みについてでございますが、今年度、この公共物管理システムを活用して概況把握を行ったところでございまして、十九年度におきましてはそのデータを精査し、まずは無断使用の可能性が高いものについて重点調査を行う予定でございます。公平性の確保は行政にとって大変重要な課題でございますので、調査結果を踏まえまして、今後着実に無断使用の是正に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

答弁:企画市民局長(平井俊之)

 住環境の整備に関連いたしまして、関係条例の見直し及び新たな環境条例の制定についてのお尋ねにお答え申し上げます。
 都市化の進展に伴いまして市民の生活を取り巻く環境は大きく変化しておりまして、住みよいまちづくりを進めるためには、より幅の広い視点からの対応が求められているというふうに思っております。御指摘のございましたごみの不法投棄や空き地の管理あるいは廃屋への対応など、快適な生活環境に大きな影響を与えるさまざまな課題に対しましては、それぞれにきめ細やかな対応をいたしまして解決を図っていくことが必要であろうというふうに考えております。
 今後、具体的に制度などを検討するにおきましては、各界各層の皆様の御意見なども伺いながら進めていく必要があるというふうに考えておりますけれども、それらの検討を受けまして、関係条例の見直しでございますとか、あるいは総合的、網羅的な条例の制定について判断してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

答弁:都市整備局長(中村克正)

 私からは、廃屋対策についてのお尋ねにお答えいたします。
 廃屋等に対する取り組みにつきましては、平成十六年より関係課と連絡調整を図りながら行っているところでございます。今年度は現在のところ六十六棟調査しておりますが、そのうち、著しく保安上危険または著しく衛生上有害となるおそれのある、いわゆる廃屋が四割程度ございまして、廃屋となる建築物が増加傾向にあるため、防災上、通行上、または生活環境上の問題が懸念されているところでございます。廃屋やこれに準ずる建築物につきましては、その所有者等に対して修繕あるいは取り壊しなどの措置を講ずるよう文書や自宅への訪問を行い、継続し指導を行ってきております。
 今後につきましては、必要に応じ建築基準法に基づいた勧告や命令も効果的に活用しながら対応してまいる所存でございますが、廃屋等につきましては相続等にかかわる権利関係などさまざまな課題がありまして、その対応につきましては関係部局と協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

答弁:消防局長(可沼伸一)

 住環境の整備についての御質問のうち、空き家と廃屋への取り組みについてお答えを申し上げます。
 従来から現場調査を行っておりまして、火災予防上、必要な措置が講じられていない場合には、所有者や管理者に対し空き家への施錠や関係者以外の侵入防止などの指導を行ってまいりましたが、今後ともこの取り組みを継続、強化していく必要があるものと認識をいたしております。このため、消防署、出張所における管内巡視や火災予防運動期間中に重点指導を行うとともに、町内会や付近住民の方々にパンフレットを配布いたしまして火災の予防に御協力いただいているところでございます。私どもといたしましては、これらの取り組みが空き家における火災予防に一定の効果を上げてきたものと考えております。
 今後の課題といたしましては、高齢化の進展と生活様式の変化に伴って空き家がふえ、さらには老朽化することにより廃屋化するものと考えているところでありまして、火災予防上の問題にとどまらず、防犯や衛生面等においてもさまざまな課題が出てくるものと考えております。
 以上でございます。

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