渡辺ひろしホームページ“市政一貫”

議会発言

平成20年第3回定例会(第6日目)

平成20年9月18日

 

一般質問

質問:渡辺博

 市長御不例の御欠席の今本会議でございます。御病気の一日も早い御回復を祈りつつ、各局局長に順次質問をいたします。よろしくお願いいたします。
 まず、教育長にお尋ねをいたします。
 仙台市は美しい緑に包まれる学都として、全国にその名を知らしめてきた都市であります。本市域並びに近郊には、誇り高く崇高な理想を掲げた建学の精神に立脚した個性豊かな学びやが数多くあり、幾多の人材をこれまで輩出し、今日の東北はもとより、全国から多くの学徒が学びの日々を送っております。また、仙台市民も、社会生活、活動の中で多くの学びの機会を利用し、自分を高める努力を行っております。
 その基本となっているのが、仙台市教育ビジョンまなびの杜21であります。このビジョンは、平成十一年十月検討委員会の設置から、平成十二年十二月第八回検討委員会答申決定まで、優に一年余りの十分な時間をかけて審議、検討され、平成十三年一月定例教育委員会で議決されるという経過を経て成立をいたしました。検討委員会が設置されて二カ月後の第一回定例会において、藤井市長は所信の中で、四つの柱を示され、その一つとして、未来を創造する世界の学都仙台の実現のため、生涯学習社会を建設することを宣言されました。生涯学習都市仙台の建設、学びの都仙台をつくることに、私も胸が高鳴ったことを今でも記憶しております。
 以来八年経過し、まなびの杜21も一定の成果を上げてきたとは思うのでありますが、市政のリーダーが交代してのこの数年、精彩を欠いた状態が続いている気がしてなりません。目標年次は平成二十二年に置いたこのプランが、初め目指した目標、生涯学習社会実現に達することができるのか、いささか危ぶまれる気持ちであります。担当教育長は今現在どのように評価しておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
 市民一人一人がどんな年代にあっても、いかなる境遇であっても学び続け、自分を高め、想像力と心の豊かさをはぐくむことができる環境をつくることは、ひとり市民の自助努力に負うばかりでなく、社会の役目だと思うのでありますが、いかがお考えでありましょうか。生涯学習社会の構築は、心身ともに健全で豊かな市民生活をつくるための大事な事業だと私は考えます。今後、まなびの杜21をどのようにバージョンアップして、生涯学習都市仙台建設に向けて力を尽くそうとしておられるのか、私は力を大いに尽くすべきだと思う立場ですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、市役所内で取り扱われる公文書について、総務局長及び関係局長にお尋ねをいたします。
 まず、議会から送られる意見書、請願書の扱いについてであります。
 申すまでもなく意見書は、地方自治法九十九条に基づき、地方公共団体の公益に関することについて議会の意思を国会、関係省庁に伝達する文書であり、議会に対する請願も議会において採択された後は、議会の意思として適切な対応処理が求められるものであります。請願には直ちに対応できるもの、一定の時間を要するものが出てまいります。中には、実現の条件が整わず、たなざらし状態になったり、お蔵入り状態になったりするものも出てくるでありましょう。しかしながら、議会の意思の重さを考えれば、適切な管理を行うことが御当局には求められているのであります。
 まず初めにお尋ねいたしますが、議会採択の意見書、請願書は、今日までいかが取り扱いをされてきたのでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、時間を要するものについては特段の配慮が必要と考えますが、いかがでありましょうか。具体的なことになりますが、お尋ねをいたします。このたび今議会に、小田原四丁目地区計画の区域内の建築物に関する制限を定めるための条例の一部を改正する条例案が提案されました。これは小田原四丁目にあった元キリンビール工場跡地に住宅を建設するための諸条件を整えるための措置と認識をしております。さて、昭和六十一年、この地にJR新駅設置の請願が隣接各町内会長、地域各種団体関係者の署名を集め、屋代光一市議会議員の紹介のもと議会に提出され、採択されております。私も署名活動などを通じてかかわった者として、駅が設置される道が開かれたことに、かかわった皆さん方と喜びをともにいたしました。昭和六十二年、私も議会に議席を得て、折に触れて早期実現に向けて御当局と協議をしてまいりましたが、条件整わずで今日に至っております。今回絶好のチャンス到来とばかり、開発担当企業に打診をしましたところ、住宅建設計画は既にかたまっており、時期を失してしまったのであります。今回の住宅建設計画は、新駅設置のチャンスであったのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 思えば、請願採択からはや二十二年余りたちました。伺えば、JRからはかねてより設置に関して厳しい旨の回答があったとのことであります。採択された請願の重さに身動きがとれなかったと御当局に対して同情もできるのでありますが、請願者に対して、これまで経過説明を初め何らかの対応があってよかったのではないかと考えます。仮称小田原駅設置の請願に関して、御当局として今後どのように取り組んでいかれるお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 さて、その他のケースを見ると、採択直後不十分な対応しかできなかった案件であっても、時間はかかりながらも担当御当局のたゆまぬ努力で、その趣旨にかなう、充実してきているものもあるようであります。現在の仕組みにおいては、議会からの要請がなければ、その後の経過あるいは結果について御当局には報告の義務がないことになっております。意見書提出者、請願提出者に対して、必要な折々に自動的に経過報告ができる仕組みづくりが今求められているのではないかと考えております。
 関連して、業務の引き継ぎと文書についてお尋ねいたします。
 一昨年、人事異動に伴う業務引き継ぎの不完全さを指摘し、問題の解決のための努力を要請したところであります。本市においては、長年にわたり、引き継ぎに関する文書に各局定型がありませんでした。担当者がかわると、懸案事項が引き継がれていないということが往々にしてありました。そのことが市民の市政に対しての不満につながり、ひいては行政不信を惹起することを危惧するものであります。改善を約束していただいたのでありますが、その後いかが対応していただいたのでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。市民の声を聞くと、この引き継ぎに関して職員の認識がまだ足りないところがあるように思います。全職員に徹底すべきことと思いますが、いかがお考えでありましょうか。
 あわせて本市の公文書の管理はどのようにされてきたのでありましょうか、お尋ねをいたします。歴史的価値のある公文書は、民間に伝わる文書も含めて社会の共有の財産として大事に管理することは有益なことと考えます。国を初めとして、各都道府県、政令市においても公文書館などを設置し、大切に管理、利用に供している自治体が相当数あります。いかがお考えになっておられるでしょうか、総務局長にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 経済局長にお尋ねいたします。
 まず、本市経済局として、昨年の経済施策の執行に当たって特に心がけ取り組んだ点についてお聞かせください。また、本市が抱える問題、それに対する取り組みについてもお聞かせをいただきたいと思います。
 仙台市は、今日まで東北の有数な経済都市として発展し、経済政策を市政運営の重要な柱としてまいりました。私が市議会に議席を得た昭和六十二年四月以来今日まで、石井亨、藤井黎の歴代市長は、関係者の衆知を集め、職員の総力を挙げて、実効ある経済政策を立て実行してこられました。現在、本市で行われている経済政策の柱だけでも、商工業振興、新産業創出、中小企業支援、産業立地、経済の国際化対応、雇用、ビジター産業、観光コンベンション、農林水産振興等があり、それぞれの柱のもと、実に多くの具体的な取り組みがなされております。いわゆる経済活性化施策は、どなたが市長であっても最重要な市政運営の柱であると考えます。
 地方分権社会が確実に到来する時代にあって、経済の自立性を高め、確立することは自治体が自己責任、自己決定のもと、自立した自治体経営をしていく上で必須の要件であります。ポイントは取り組む手法であり、厳しい現実に対しての謙虚な取り組みの姿勢であると私は考えます。経済のグローバル化、複雑化のもと、激しい経済競争が行われている今日、どんなすぐれた専門家であっても一人ではとても立ち行かないと考えます。
 私たちは、本市の市政運営に当たって一人あるいは限られた専門家に頼るばかりではなく、多くの人々のさまざまな力を結集し、現在、未来に対する知見を得て、それをもとに本市の経済活性化に向けて戦略を立て、適宜適切な施策を地道に実行していくことが重要であると考えます。
 今日、世界経済を揺るがし、深刻な経済不安を惹起したアメリカ証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻が引き起こした混乱は、一瞬のうちに世界を駆けめぐりました。日本経済に対する影響、特に本市経済に対する悪影響が懸念されるところであります。今回のケースは、今後さまざまな分析が行われると思いますが、経営者のあり方につき注目が集まっております。リーマン・ブラザーズの場合、トップを占めた経営者に対し、その経営手法について厳しい評価があるようです。リーダーのあり方に関して、極めて示唆に富んだ例になるのではないかと考えます。
 私は、市民協働が生み出す力、市民力に期待し、市政運営に生かすことを大事に考える立場であります。また、市民協働は、長い時間をかけて市民と行政が培ってきた仙台市の文化であります。経済団体を初めとした多くの仙台市民と常に接しておられる中、経済政策の上での市民協働、市民力の発揮に対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で私の質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

答弁:副市長(笠原周二)

 ただいまの渡辺博議員の御質問にお答えを申し上げます。
 経済政策を推進する上での市民協働、市民力に関する御質問にお答えを申し上げます。
 仙台市における経済状況は、原油や穀物などの原材料の高騰や消費の低迷などを背景といたしまして、大変厳しい状況が今後も見込まれるものと認識をしております。一方、仙台圏への大規模工場の立地が決定いたしましたし、また、市内中心部におきましては、都市としての魅力を評価していただき、民間の投資が積極的に促進をされているところでございます。今後、これらの投資が地域に根差すことによりまして、仙台市の経済にとってこれまでにない新しい可能性が期待できる段階になってきたのではないかと認識をしているところでございます。
 こうした状況におきまして、産業界はもとより市民など地域が一丸となって、地域の経済活性化に取り組むことが重要でございます。仙台市といたしましても、中小企業の方々を初めとし、地域で活躍をされている経営者や専門家の方々などの意見に真摯に耳を傾け、地域企業のニーズの把握に努めながら、民間が主導する取り組みを積極的に支援するなど、効果的な施策の展開に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁いたします。
 以上でございます。

答弁:総務局長(大嶋英世)

 公文書に関します数点のお尋ねにお答えを申し上げます。
 初めに、請願書等の取り扱いに関する御質問でございました。
 請願書につきましては、議会で採択された場合には、市長や行政委員会において措置することが適当と認めるものにつきましては、議長から市長あて文書によりまして、次の定例会までに処理経過及び結果を報告するよう、請願の写しとともに通知をいただいているところでございます。これを受けまして、関係局において必要な対応をいたし、その処理経過及び結果を次の定例会の開会までに、市長から議長あてに文書により御報告を申し上げているところでございます。
 次に、請願のうち一定の時間を要するものへの対応という御質問でございました。
 請願書の取り扱いにつきましては、誠意をもって対応しているところでございますけれども、事業の内容等によりましては長期にわたっての対応が必要となるものがございます。こうしたことから、さまざまな事業の推進に当たりまして、いろいろな機会をとらえながら、丁寧な対応に意を用いてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、人事異動に伴う事務の引き継ぎについてでございます。
 人事異動に伴います事務引き継ぎにつきましては、事務処理に支障が生じないよう、より確実な引き継ぎを徹底するため、平成十九年三月に全庁的に関係規程の見直しを行ったところでございます。具体的には、事業の経過や課題など引き継ぐべき内容を明確化するとともに、引き継ぎ時期を早めるなどの見直しを行いまして、全職員に対し内容の周知と事務引き継ぎの徹底について通知をいたしております。また、本年三月には、定期異動を前に、改めて同様の内容について周知をいたしたところでございます。引き続き全職員に対して、事務引き継ぎの徹底を図りまして、行政運営の継続性の確保に努めてまいりたいと存じます。
 最後に、公文書の管理でございます。
 将来の世代を含め、市民に対する説明責任を果たし、公正な行政を推進していくため、また歴史的な価値のある公文書を保存するというようなことでは、その公文書を適切に作成し、管理保存していくということは、極めて重要なことであると考えているところでございます。公文書館につきましては、現在のような財政状況のもとではなかなか早期の設置は難しいものと考えておりますけれども、今後も公文書の適切な管理保存等に努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

答弁:経済局長(藤本章)

 経済施策についての御質問のうち、二点お答え申し上げます。
 まず、昨年の経済施策の取り組みについてでございます。
 平成十九年度におきましては、活力ある地域経済の実現を図っていくことが何より重要であるとの観点から、その担い手でございます中小企業の振興や投資の促進、さらには次代の成長エンジンと期待される新産業の創出などに積極的に取り組んできたところでございます。特に、地域中小企業の活力の向上が不可欠であるとの認識から、その施策展開に当たりましては、地域企業の方々のニーズを十分に把握しながら、それに的確にこたえていくため、さまざまな機会をとらえ、直接お話をお聞きしながら、効果的な施策展開に心がけたところでございます。
 次に、本市の抱える問題と対策についてでございます。
 本市が抱える問題といたしましては、全国的な課題でもございますけれども、昨今の原油高など原材料価格の高騰、消費の低迷など、地域経済や景気の不透明感が増していることが挙げられます。そのため引き続き中小企業などの活力の向上を図っていく必要がございますが、その際にはセントラル自動車など大規模工場の仙台圏への進出決定といった好機を生かすことができるよう、進出企業と地域企業との取引促進に取り組むことも地域としての課題であると考えております。
 こうした課題への対応といたしましては、地域中小企業の技術力や販売力の向上、これを実現するための人材の確保、育成といった経営の体質強化などが不可欠であり、今後ともこれらを目的とした施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

答弁:都市整備局長(中村克正)

 小田原地区の新駅設置に関する御質問にお答えいたします。
 この件につきましては、これまで局の懸案事項として引き継がれ、設置の可能性についてJRと協議を重ねてまいりました。御指摘のありました開発計画に際しても、改めて検討を行いましたが、仙台駅にも近く、新たな需要が見込めないこと、また東北本線、仙山線、新幹線など鉄道が密集している地区でもあり、近接して複数の踏切があることから、駅の設置に伴い遮断時間が非常に長くなることが予想されること、さらに周辺の都市計画道路の整備計画が定まらないことなど、駅設置には多くの課題があると考えております。
 この件につきましては、今後とも機会をとらえながら、地元の皆様に対しまして可能な限り丁寧な説明、対応に意を用いてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

答弁:教育長(荒井崇)

 私からは、本市の教育基本方針であります仙台まなびの杜21、仙台市教育ビジョンについての数点のお尋ねにお答え申し上げます。
 本ビジョンは、基本的方向性としまして、学ぶ力をはぐくむ、学ぶ機会を広げる、学ぶ資源を豊かにする、この三つを柱に掲げまして、生涯学習の視点から学びの仕組みづくりを目指したものでございます。本ビジョンの示す方向性に沿いまして、これまで天文台や大倉ふるさとセンターの開設や、また講座等の社会教育施設の事業の質的充実に取り組んできたところでございまして、学ぶ資源や学ぶ機会の充実に関しまして、着実にその推進が図られていると認識しております。
 このような生涯学習の環境整備は、継続的に取り組むべき課題であると認識しております。今後ともこれらの生涯学習に係る資源を市民の皆様により知っていただきまして、その利用を推進し、さらには変化の激しい現代におきまして、市民の皆様が必要な力を身につける上で役立つよう、より効果的なサービスの提供等に努めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、生涯学習社会の実現についてのお尋ねでございます。
 まず、その社会の役割でございますが、議員御指摘のように、市民一人一人が置かれている社会経済環境等はさまざまでございまして、学ぶ意欲はあっても現実には困難な場合もあろうかと存じます。その学ぶ権利を市民に平等に確保するため、社会としてその環境を整備していく必要があると考えております。このような社会は、教育ビジョンに示されている三つの柱である、学ぶ力をはぐくむ、学ぶ機会を広げる、学ぶ資源を豊かにする、これに掲げた施策に対しまして、行政と家庭、また地域など多様な主体が連携して遂行していくことによりなされていくものであると考えているところでございます。
 続きまして、同ビジョンの今後のバージョンアップについてのお尋ねでございますけれども、先般の改正教育基本法におきまして、地方公共団体は国の教育振興基本計画を参考としながら、教育の振興のための施策に関する基本的計画を定めるよう努めることとされてございます。本市の教育ビジョンは、平成二十二年を目標年としておりますが、現在当ビジョンを引き継ぐ新たな計画として、法律に基づく基本計画を策定する予定でおります。今後、この取り組みの中で、生涯学習の構築に向けまして、今までの施策の成果と課題を改めて検証しつつ、その充実に向けた方策に関して検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。

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